和骨董大辞典

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無名異焼(むみょういやき)

新潟県の佐渡市で制作される陶器です。佐渡金山から採取される酸化鉄を多く含む赤土を使って焼成されますが、この土が、止血や痛み止めの効果を持つ「無名異」という漢方薬と同じ効果を持ったことから「無名異焼」と呼ばれるようになりました。

 

無名異焼は高温で焼成して仕上げる為、焼成前後で全体の約30%もの縮小が見られます。そのため焼き上がりは非常に硬く、叩くと高い金属音が鳴るのが特徴です。

さらに、無名異焼は水簸(すいひ)と呼ばれる、陶土から不純物を取り除き微粒子の粘土を調整する工程を経て焼かれ、また、焼成後には砂研磨と呼ばれる特殊な作業を行うため独特な味わいが引き出されます。

 

このように丁寧に焼き上げられた無名異焼は、陶器でありながら磁器に近い風合いを持ち、使用するにつれて表面に光沢をもっていく特有の性質や、花のもちを良くする花器として、あるいは飲み物の味わいを深める器として多くの人々に親しまれています。

 

 

無名異焼の歴史

 

無名異焼は19世紀初め、佐渡で採れた金銀の精錬に用いる、送風口や瓦の製造をしていた7代伊藤甚兵衛が、土に無名異を合わせて日用雑器を焼いたのが始まりだと言われています。しかし当初の作品は焼き締めが甘く、柔らかい陶器として知られる楽焼に似た完成度であったため、実用的ではありませんでした。

 

その後明治期に入り、伊藤赤水や三浦常山といった陶工が研究を重ね、それまで低温焼成だった無名異焼を1200℃の高温で焼成し耐久性を高めることに成功し、無名異焼の製法を確立しました。この頃から無名異焼の窯は次々と増えていき、絵付けされたものや釉薬で様々な表現のされたもの等、各々の作家による独創的な作品が生み出されていきます。

後の昭和後期には交通手段の発達と観光客の増加に伴い、無名異焼は佐渡地産のお土産物として人気を得、現在でもその技術は各窯が受け継ぎ制作を続けています。

 

 

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