東洋骨董大辞典

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宜興窯(ぎこうよう)

中国の、江蘇省宜興市で活動している窯です。青磁や白磁などの磁器製品が名高く、窯の多い中国ですが、宜興窯は景徳鎮窯と並び『磁都景徳、陶都宜興』と呼ばれる陶器製造の主要窯です。特に宜興の土地特有の紫紺色の土を使った「紫砂」と呼ばれる焼き物は有名で、朱泥の急須のような上品な質感を持った茶道具は、中国のお茶の文化を支えてきました。

 

また、この紫砂は日本にも大きく関わりがあります。日本人なら一度は見たことのある朱泥の急須は、この宜興窯の紫砂を手本に作られたものなのです。明治時代初期、愛知県の常滑窯に宜興窯の陶工であった金士垣という人物が招かれ、常滑窯の職人たちにその技法を伝授したことから、日本には朱泥の急須が広く伝わりました。

 

 

 

宜興窯の紫砂

 

 

宜興窯での紫砂の生産には、少なくとも1000年以上の歴史があります。茶器で使われる紫砂は特に「紫砂壺」(日本ではしさこ、しさへい)と呼ばれ、これを使ってお茶を淹れると地の表面の微細な穴が、お茶の成分を蓄え、香りを豊かにし、茶器自体も経年によって光沢を増し、保温性にも優れています。中国で急須を用いてお茶を淹れる文化が確立されたのと同じ頃に、この紫砂壺も出来上がったと考えられており、古来から茶道具の1つとして親しまれてきました。

 

日本には19世紀末に伝えられましたが、20世紀には国外の博覧会で賞を受賞し世界的に名を広めています。それ以後も技術の研究を進め養成所を開設するなどして、作品の改良に努めました。

日中戦争などの戦乱後は、一時衰退の傾向もありましたが、国営の工場の設立や地域の尽力によって、現在でも伝統は受け継がれています。

 

 

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