東洋骨董大辞典

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建窯(けんよう)

中国の福建省建陽県を中心に活動していた窯です。この土地には山と川があったため、製陶に必要な陶土やその焼成に必要な燃料の採取、そして、作品を広い地域に流通させるために必要な水路に恵まれていました。

建窯のはじまりは唐の時代、中期~後期だと言われており、当初は青磁、後に青白磁や黒釉碗が作られるようになっていきます。最盛期には優れた作品が多数製造されましたが、その中でも最も有名なのが黒釉を使った天目茶碗でした。天目茶碗はお茶の文化と共に日本にも伝わっています。ここではその天目茶碗についてご紹介していきます。

 

 

 

建窯の天目茶碗

建窯の天目茶碗で名高い『曜変(耀変)天目茶碗』と『油滴天目茶碗』についてそれぞれご紹介します。

 

 

☆曜変天目茶碗

鎌倉時代に日本に伝わってきた茶碗です。幕府の巻物には「これ以上のものはない」との評価が書かれているほど「美しい」碗として知られ、器全体を覆った黒い釉に、大小様々な虹色、あるいは瑠璃色のまだら模様が散っているのが特徴です。このまだら模様の色合いは非常に珍しい物で、きらきらと光を反射するような光彩は「器の中に宇宙が見える」と言い表されることもあります。建窯でもごくわずかな時期に少量しか生産されていなかったと考えられていますが、その中で現存する4点は全て日本にあり、なぜ中国に残っていないのかなどは未だ明確になっていません。

国内にある曜変天目は1点が重要文化財に、3点が国宝として指定されています。

 

 

☆油滴天目茶碗

曜変天目茶碗と同じく、黒釉を使った茶碗に模様を施したものです。この油滴天目は黒釉の地に、水面に油を落としたような銀色のまだら模様が浮かび上がっているのが特徴です。この模様は銀色またはいぶし銀、あるいは褐色の光彩を放ち、曜変天目に次いで美しいと称されています。

 

 

 

上記のように、陶磁器の中でもその美しさが特に称賛された建窯の曜変天目と油滴天目ですが、元の時代中期には衰退してしまったと考えられています。窯は途絶えてしまいましたが、その作品は現在でも高い人気があります。

 

 

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