東洋骨董大辞典

  • TOP
  • 東洋骨董大辞典

中国陶器7【五彩】

 

五彩とは、白磁に赤や黄、緑などの様々な上絵具を使って模様を描き、低温で焼きつける装飾技法の1つです。「色絵」「釉上彩」とも呼ばれています。

1つの作品を制作するのに、素地に釉薬を掛けて高温焼成し、上絵具で模様を描いてから再度低温で焼き上げるという2回の焼成が必要であるため、手間と費用のかかる技法でもあります。

 

五彩は金から元の時代に前身となる技法が誕生し、当初は日本で「宋赤絵」と呼ばれた赤色をメインに使った装飾が施されていました。その後景徳鎮のコバルト顔料を使った装飾「青花」などが発達し、2度焼きによってさまざまな色合いの絵付けを施す五彩の技術が確立したのは16世紀中頃、明の時代だと考えられています。五彩が施された作品は、その後中国国内だけでなくヨーロッパでも大流行し、西欧の工芸技術の発展に影響を及ぼしました。

ちなみに、五彩は「華やかな多彩な色合い」という意味を持ち、その名の通り5色でなければならないという決まりはないので、同じ技法で焼かれているものであれば何色使ったものでも「五彩」と呼び表されます。

 

 

 

ここではその五彩について、時代ごとにご紹介していきます。

 

 

☆金・元時代

磁州窯系の窯で釉上彩がはじまり、中国で初めて陶磁器に筆を使って模様を描く、という技術が本格化しました。特に金時代は白化粧を施した牙白色の地に、赤や緑・黄の絵具を使用して、動植物や吉祥語と呼ばれるおめでたい言葉を書き入れた作品が多く生産されています。これは日本では「宋赤絵」と呼ばれ人気を得ました。

 

☆明時代

16世紀中頃からは盛んに五彩の生産が行われ、官窯では「成化豆彩」、民窯では「古赤絵」と呼ばれる作品が多く焼かれています。「成化豆彩」は牙の様に滑らかで白い地に、青花に加え赤や緑などの絵具も用いて、繊細な図柄を施した作品です。

また、民窯で焼かれた五彩「古赤絵」は、赤を多用した図柄に緑や黄色を施した作品で、日本でも流通しました。その他にも明の時代後半には、金箔や金泥を施して3度目の焼成をする「金襴手」や「呉須赤絵」の技術が確立しています。

 

☆清時代

清の時代初期に制作された「康熙五彩」は、赤や青以外にも黒や緑、茶色などの色味を活かした、それまでとは全く異なる繊細で絵画的な絵付けが特徴です。また、不透明な白い顔料を下地に、上から多彩な顔料で絵付けをする「粉彩」の技術が完成されると、微妙なにじみやグラデーションの表現が可能となり、より本格的な絵付けが出来るようになりました。

その他にも、「琺瑯彩(ほうろうさい)」と呼ばれる作品は白玉のような白磁に山水画や花鳥が描かれ、そこに行書の題句などが添えられたもので、当時の皇帝や皇族に好まれました。

 

 

 

買取に関するお問い合わせ

ご相談やご質問など、まずはフリーダイヤルでお気軽にお電話くださいませ。
  • お電話でのお問い合わせはこちら tel:0120-424-030
  • メールでのお問い合わせ