16世紀中ごろから17世紀前半にかけて活躍した書家です。上海市の出身で、号は子柔と称していました。学問においては経書について非常に詳しく、李流芳や唐時升、程嘉燧ら同時期の書家など3名と並んで『嘉定の四先生』または『嘉定の四君子』と呼ばれ称賛されています。しかし、科挙試験においては62歳の時に推薦制度によって最高学府に入学したものの、官職には就かずに帰郷しました。
書においては後漢時代から三国時代に活躍した鍾繇や南北朝時代に活躍した王義之の作品から学んだと言われており、晩年の作品には宋時代の書家・蘇軾などからの影響も見て取れます。婁堅自身の誠実さを表すような落ち着いた実直な筆致が特徴です。