18世紀後半から19世紀半ばまで活躍した書家です。浙江省の出身で、号は竹田などと称していました。30歳の時に科挙試験の受験資格を得た挙人となりましたがやがて仕官を断念し、金石書画の収集家として名を馳せていきます。その収蔵品は金石書物はもちろん、殷周時代の旧い銅器や秦漢時代の瓦や古銭など幅広い分野におよび、張廷済の優れた観察眼によって1品1品集められた品物はどれも逸品であったと伝えられています。清時代に活躍した書家・金石家の翁方綱や政治家の阮元などからも信頼され、阮元によって編纂された金石学の書『積古斎鐘鼎彝器款識』に収められた古銅器における半分が、この張廷済の収蔵品でした。
書においては北宋時代の書画家・米芾の作品に学んでおり、息の短い筆法による行楷書を得意としています。