東洋骨董大辞典

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磁州窯(じしゅうよう)

華北省磁県彭城鎮周辺地域で最大の規模を誇った窯場として知られています。

磁州窯で用いられている陶土は地元で「大青土」と呼ばれるもので、焼き上がりが灰色に色付くものでした。そのため作品の滑らかさや白さを保つために白の化粧土を掛け、さらにその上から透明釉を施して作品を制作していました。

 

磁州窯の作品は磁器ではなく陶器であるため、出来上がりの器は厚みをもち、温もりのある素朴な味わいが感じられるのが特徴です。大衆の間で親しまれたため作品には生活雑器が多く、皿や碗、壺、瓶が多く見られます。

 

 

 

磁州窯の特徴と装飾

 

 

磁州窯では前述した通り、採取されていた陶土の色味が強かったため、白化粧をし、透明釉も施す方法で白磁の代用品を作っていました。このような作品は鉅鹿(きよろく)とも呼び、10世紀前後から作られていたと言われていますが、後にその陶土を活かした装飾技法が生み出されます。

それが「白地掻落し」や「白地黒掻落し」です。

 

「白地掻落し」は、灰色の素地の上にかけた白い化粧土の一部を削り、『掻き落とす』ことによって模様を表現するものです。また、「白地黒掻落し」は白の化粧土の上にさらに黒の土を掛け、この黒の土を部分的に掻き落とす装飾技法で、出来上がった模様は黒と白のコントラストが独特の雰囲気を表現しました。

 

その他にも、磁州窯では色の付いた素地を活かして装飾を施す技法が非常に発達しました。白化粧を線彫りして模様を表す「線刻」、素地に模様を彫り込み白化粧をし、さらに模様部分を削る「象嵌」、掻落しを施したものに緑の釉薬を掛ける「緑釉掻落」などがそれに当たります。

また、こういった掻落しの技法を活かしたもの以外に、「鉄絵」や「三彩」、金の時代には中国で初めて「五彩」といわれる色絵付けの技術が磁州窯で完成されました。これは透明釉を掛けて高温焼成したものの上から、顔料で模様を描き再び焼成する技法で、化粧土の白色に加え緑、黄色(褐色)、赤、青色が使われています。

 

 

以上のように磁州窯では、独特の陶土を活かした作品が多く生み出されてきました。最盛期は宋の時代から元の時代にあたりますが、その後も明・清の時代を経て、窯は現代まで受け継がれています。

ちなみに、「磁州窯」という言葉は1つの窯を指すものではなく、その地域で制作された作品すべてをさすものとして使われています。

 

 

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