17世紀半ばから18世紀初頭にかけて活躍した書家です。浙江省の出身で、号は夢墨や香泉、葑叟などと称していました。学問に秀でていたため、国の最高学府であった国士監で学ぶ権利を得、その後王朝に仕えるようになると山西省の長官などを務めています。
若いころからよく詩を詠み、清時代初期の詩人として有名な王士禎に師事していました。また陳奕禧は金石の収蔵家としても知られ、秦時代や漢時代からの作品も集めると、その文字の考察も行ったと言われています。
このように詩や金石に打ち込んだ陳奕禧でしたが、最もその名が知られているのは書の分野であり、幼少期から書を学んでいました。若い頃には夢で神人のお告げを見たことから夢墨と号し、日々研鑽し、腕を磨いたといいます。やがて康熙帝に認められると、宮中で活躍し、都でもその作品が大流行しました。
北宋時代の文人・米芾や明時代末期に活躍した董其昌に影響されたとみられる、明快な書風が特徴的です。