和骨董大辞典

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有元利夫(ありもととしお)

 

昭和中ごろに生まれ、同時代の末にかけて活躍した洋画家です。油彩画を中心に描きましたが、絵具は油絵具以外にも、日本画にも使用される岩絵具や金を使用するなど独自の彩色方法を用いた作品を制作しました。

 

 

有元利夫の歴史

 

有元利夫は1946年に家族が疎開していた岡山県で生まれ、生後間もなく上京しました。小学校の頃から美術に興味を持っていたため当時は油彩画を学び、木版画を出品した絵画コンクールでは最優秀賞に選出されています。その後中学校を経て都立駒込高等学校に進学すると、大学院生でありながら同中学校で美術教師として教壇に立っていた版画家の中林忠良に出会い、中林と同じく東京芸術大学に進学することを決心しました。

こうして有元利夫は絵の勉学に励み、23歳の時に東京芸術大学のデザイン科に入学。在学中はヨーロッパ旅行で目にしたイタリアのフレスコ画に強く影響を受けたことがきっかけとなり日本画、特に仏画に注目し、日本の古美術の研究と岩絵具の使用を始めています。また卒業制作では西洋古典絵画や日本の仏画などから着想を得た連作『私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ』を制作し、同作は東京芸術大学の購入品となりました。

 

卒業後は電通に勤務しながら自身の作品制作も行い、次々と個展を成功させていきます。約4年後には電通を退社し、母校である東京芸術大学で非常勤講師として教壇に立つこととなり、美術に打ち込めるようになりました。彫刻作品や版画、アクセサリーなど幅広い分野で制作を行いましたが、生涯美術団体には加わることなく展覧会に出品を重ね、安井賞展での特別賞や美術文化振興協会賞、日本青年画家展での優秀賞を受賞しています。画集や銅版画集の出版も行い、1985年、38歳の若さで息を引き取りました。

 

 

 

ピエロ・デラ・フランチェスカ

 

有元利夫の卒業制作の題名にも引用されていますが、ピエロ・デラ・フランチェスカは15世紀に活躍したイタリアの画家です。靴職人の子供として生まれ、地方画家の弟子となって絵を学びました。20代後半ごろからフィレンツェで活躍し始め、宗教画を中心に数々の作品を遺しています。代表作は『キリストの洗礼』で、遠近法を用いたルネサンスの初期頃の画家として知られています。

 

 

 

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