明治時代、日本ではそれまで注視されていなかった伝統工芸に目が向けられ、
多くの素晴らしい作品が生まれました。
きっかけは明治時代の工業の発展、
そして1873年に行われたウィーン万国博覧会です。
明治時代が始まる少し前まで鎖国していた日本では、
古くからあった七宝、金工、彫刻、陶磁器、漆工などを始めとする
伝統工芸の分野で独自の技術が磨かれていましたが、
鎖国が解かれ欧風文化が一気に流れ込むと、
国内でそのような工芸品は注目されなくなりました。
しかし、万国博覧会に日本の工芸品が初めて出品されると、
繊細な技が活かされた伝統工芸品たちは欧米諸国に大変好評を得たのです。
これを受け、日本の工芸品は改めて美術的価値を見出され、
政府は伝統工芸品の振興と発展に意識を向けていきます。
国内では珍しい異国文化が流行しているのに反して、
職人たちは輸出向けとして、
江戸時代よりもさらに巧みな技を施した作品を続々と生み出していきました。