和骨董大辞典

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浮世絵の歴史

 

東洲斎写楽の役者絵や歌川広重の『東海道五十三次』など、江戸時代に広まった浮世絵は現代でも多くの人に知られています。人物画や風景画、文学を題材としたものなど様々ですが、これらの浮世絵は江戸時代のその約260年の間に生まれ、流行しました。

そもそも浮世絵の「浮世」とは、江戸時代以前の戦が続いたいわゆる「憂世」に対し、徳川幕府成立によって始まった、ゆとりを持った平和な世が生んだ言葉でした。安定した世の中に明るい意思をもった庶民の間で、いつしか「憂世」は「浮世」という明るい言葉となり、その当時を描いた絵という意味で「浮世絵」が生まれたそうです。

 

そんな浮世絵の先駆けとなったのは、『見返り美人図』でよく知られる菱川師宣でした。地本の挿絵を描いていた師宣が発表した肉筆画の『見返り美人図』が評判を呼び、その後江戸庶民の憧れである芝居町や遊里の様子を、安価な版画にして売り出したのが浮世絵の始まりとなったのです。

庶民の生活ではなかなか見ることの難しい景色や、人気を集める為当時の流行の最先端を行く話題や物事を描いた浮世絵は、すぐに庶民の間に広まっていきました。鈴木春信が茶屋の看板娘を描き人気を博した『美人画』、不振の続いていた歌舞伎を流行させることとなった東洲斎写楽等の『役者絵』、葛飾北斎歌川広重が旅行ブームであった江戸で発表した『風景画』など、多くの題材が取り上げられ江戸で浸透すると共に、地方では江戸の土産物として知られるようになります。

 

 

☆浮世絵の名絵師

 

浮世絵には絵師が描いた1点ものの「肉筆画」と、大量生産が可能な為安価で、庶民の間で流行した「木版画」の2種類があります。木版画は、絵の全体をデザインする絵師、それを木に彫り起こす彫師、そして彩色して摺りあげる摺師によって完成されますが、中でも注目されたのは絵師でした。現代でもよく知られている絵師たちを簡単にご紹介します。

 

菱川師宣(ひしかわもろのぶ):初期に活躍した絵師。肉筆画の『見返り美人図』を描いたほか多くの題材の浮世絵を描きました。

 

奥村政信(おくむらまさのぶ):独学で絵を学び、初期に活躍しました。美人画を多く描いた肉筆画や、西洋絵画にヒントを得た遠近法で、大画面に芝居小屋全体を描いた「大浮絵」などが有名です。

 

鈴木春信(すずきはるのぶ):小柄で華奢な女性と、その繊細な表情を描くことを得意とし、中期に活躍しました。江戸の三美人とされた笠森のお仙を描いた『お仙茶屋』を手掛け人気を博しました。

 

喜多川歌麿(きたがわうたまろ):様々な姿勢や表情の美人画を得意とした、江戸中期の絵師です。版元であった蔦屋重三郎(つたやじゅうさぶろう)の下で、全身でなく上半身のみをとらえた『大首絵』を流行させました。

 

 

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東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく):中期に活躍しました。現代でいう似顔絵の様に、芝居小屋の役者たちの特徴をとらえたインパクトのある絵を描いたことで名を博しました。その作品たちは版元の蔦屋によって浮世絵となっていきましたが、写楽自身の製作期間はわずか10ヶ月と言われています。

 

葛飾北斎(かつしかほくさい):富士山を主題として描いた錦絵『富嶽三十六景』を描いたことで知られる後期の絵師です。風景画以外にも多くの人物画や道具、妖怪などを描いた『北斎漫画』や、美人画、動植物など題材は多岐にわたりました。

 

 

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歌川広重(うたがわひろしげ):『東海道五十三次』で知られ、後期に活躍しました。風景画や動植物などを描くことを得意とし、それまでの西洋絵画にはなかった大胆な構図は広海外でも好評を得ました。

 

 

☆新版画

 

江戸時代には大流行した浮世絵でしたが、明治期に入ると西洋から導入された大量印刷の技術により人気は後退してしまいます。そこで浮世絵の復興と近代化を目的に制作されたのが新版画です。明治30年ごろから昭和期にかけて制作され、独特の色使いや雰囲気で、江戸時代にはなかった日本の風景や文化を題材にしたものも多くあります。日本各地の風景を写生した川瀬巴水(かわせはすい)や、自然風景を高い写実性で描いた吉田博、美人画を多く描いた伊東深水(いとうしんすい)などが活躍し、日本人以外にも外国人作家の作品も制作されました。

 

 

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