犬山焼は愛知県犬山市で焼かれている磁器です。丸山焼とも呼ばれ、主に酒器や花入れ、湯呑、抹茶碗などが作られています。
白い素地に桜と紅葉の両方が描かれた『雲錦手』や、赤や黒・緑を基調に、中国から伝わった麒麟や鳳凰、龍、獅子などの幻の生き物や花鳥図を描いた『赤絵』が描かれた作品が多く見られるのが特徴です。
犬山焼の歴史
犬山焼の始まりは安土桃山時代まで遡り、その祖は美濃焼の分派として奥村傳三郎が築いた今井窯だと言われています。この窯は傳三郎の孫の代まで受け継がれ、ここで製陶された作品に「犬山」の文字があったことから、「犬山焼」の祖が出来上がりました。
この今井窯は一度途絶えますが、それから約30年後、当時の犬山城城主成瀬正寿が再興に乗り出したことで、再び犬山焼が焼かれるようになったのです。ちなみに、このとき窯が作られた土地の名が「丸山」であったことから「丸山焼」の別名が生まれています。
その後犬山焼は窯の経営者の交代を経ていく中で、陶画技術を持った赤絵の名手である道平による呉須赤絵(犬山呉須)や、画家の福本雪潭に描かせた雲錦手などの図柄が生まれました。これらの図柄は高く評価され、犬山焼は藩の援助を受けるとともに、さらなる作品の制作に励んでいくこととなりました。
その後明治の廃藩置県による藩の廃止や県内で製陶会社を設立するも地震の被害を受けるなどし、犬山焼は一時衰退しましたが、万国博覧会への出品や、廃業した工場の二代目の尽力などにより復興を果たし、現在でも作品の制作が続けられています。